膝関節疾患
変形性膝関節症
膝の痛みの原因として最も多いのが変形性膝関節症です。日本全国に800万人の患者さんがいると言われており、痛みが無くてもレントゲンで変形が確認できる予備軍を含めると2500万人と日本の人口の2割にも上るとされています。高齢化社会の進行とともにますます患者さんが増加しているのが現状です。
原因
関節軟骨の加齢による変化や、外傷(ケガ)が原因と考えられており、肥満や遺伝なども発症と進行にかかわっています。加齢によるものでは関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、使いすぎることによりすり減り、関節が変形します。日本人は多くの場合、変形性膝関節症の進行とともにO脚が進みます。
症状
初期には立ち上がる時や歩き始めの膝の痛みが主ですが、進行すると歩行時の膝痛が悪化し、正座や階段昇降が困難になります。また、変形が進むと膝がまっすぐに伸びなくなり、歩行も困難となってしまい日常生活が非常に不便になります。
治療
主な治療は
①運動療法:大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)強化、関節可動域訓練
②薬物療法:消炎鎮痛薬の外用(シップ)、内服、関節注射
③手術療法:関節温存手術、人工膝関節置換術
に分けられます。
当院では、運動療法や薬物療法で症状が改善しない患者さんには変形の進行具合や、年齢、性別、活動性を熟慮し、相談の上で適切な手術を選択しています。
関節温存手術:脛骨近位骨切り術
自分の膝関節を残したまま、変形性膝関節症でO脚となった下肢をX脚気味に矯正する手術です。
年齢が若い方、活動性の高い方、変形が比較的軽度の方が良い適応です。
人工関節置換術と比べ、術後リハビリに比較的時間がかかりますが、自分の膝関節が残っているので趣味や運動への復帰が可能な点が優れています。当科では術後の骨癒合に有利な手術術式を新たに開発し、早期社会復帰に向けた取り組みを行っています。
詳しくはリンク先に記載してあります。脛骨近位骨切り術
人工関節置換術
傷んでいる範囲に応じて膝関節を一部分あるいは全部を人工関節に置換します。
変形が高度の方、比較的高齢の方に適応があります。
関節温存手術と比べ、術後リハビリにかかる期間が短い傾向にあります。人工関節には耐用年数があるため、長持ちさせるために術後の運動には制限があるといった難点があります。当科では手術に際してできるだけ筋肉を温存する術式を選択し、術後の早期筋力回復に努めています。
ロボット支援人工関節置換術
人工膝関節置換術に際し、適切な角度で人工関節を設置、また患者さん毎の靱帯バランスを最適に調整することを目的に、2021年6月より人工膝関節置換術支援ロボットROSA(ロザ)を導入致しました。
詳しくはリンク先に記載してあります。
>人工膝関節置換術支援ロボットROSA
リハビリテーション支援ロボット
人工膝関節置換術後のリハビリをサポートしてくれる日本発世界初の装着型ロボットシステムです。ロボットによるアシストで術後の急性期リハビリテーションを進めることが可能になりました。
詳しくはリンク先に記載してあります。
>リハビリテーション支援ロボットHAL