沿革

整形外科教室の歴史

金沢大学医学部整形外科学教室は、1953年7月に開講され、2013年には教室開講60周年を迎えました。

高瀬武平 教授 初代 1953年~1976年

1910年9月石川県金沢市にて出生
1936年3月金沢医科大学(現 金沢大学医学部)卒業
1954年12月初代 金沢大学医学部整形外科教授
1962年4月金沢大学医学部附属病院長(至1966年3月)
1972年4月第45回 日本整形外科学会会長
1973年4月金沢大学医学部長(至1976年3月)
1978年10月福井医科大学学長(至1982年11月)
1982年11月ご逝去 享年72歳 従三位勲二等旭日重光章授受

 当教室初代教授として23年間在任し、教室の礎を築きました。在任期間中は骨肉腫に関する基礎研究で多大な成果を挙げ、日本整形外科学会骨腫瘍研究委員長を務めました。また、1963年からはイタイイタイ病文部省科学研究機関班長としても活躍し、1978年からは福井医科大学長を務め、北陸地方の整形外科発展に寄与しました。

野村進 教授 第2代 1976年~1989年

1923年10月富山県城端町にて出生
1948年3月金沢医科大学(現 金沢大学医学部)卒業
1976年6月第2代 金沢大学医学部整形外科教授
1982年4月金沢大学医学部附属病院長(至1984年3月)
1986年8月第1回 日本整形外科学会基礎学術集会会長
1999年5月勲三等瑞宝章を授受
2003年8月ご逝去 享年80歳

 末梢神経障害に対する基礎研究や切断指再接着手術の導入など手外科領域で多くの業績を残しました。独自の軸索鍍銀染色法(野村変法)を駆使し、末梢神経の変性と再生の解明に取り組みました。神経軸索の変性―再生―機能回復機序に関する理論を展開し、我が国の末梢神経外科学の第一人者としての地位を築き、1986年には第1回日本整形外科学会基礎学術集会を金沢市で開催しました。

富田勝郎 教授 第3代 1989年~2010年

1945年2月富山県福光町にて出生
1969年3月金沢大学医学部卒業
1989年8月第3代 金沢大学医学部整形外科教授
2003年5月第76回 日本整形外科学会学術集会会長
2006年4月金沢大学附属病院長(至2014年3月)
2010年4月金沢大学医学部整形外科名誉教授

 骨肉腫に対する化学療法の導入や悪性骨軟部腫瘍に対する患肢温存手術とともに、胸椎後縦靭帯骨化症に対する脊髄全周除圧術や転移性脊椎腫瘍に対する腫瘍脊椎骨全摘術(TES)など脊椎外科領域で多くの独創的で画期的な手術を開発しました。また,T-sawという特殊な骨切りデバイスを開発し,脊椎外科手術に大きな変革をもたらしました。当教室が日本における脊椎腫瘍手術の最高峰と呼ばれるようになり、2003年には金沢市で第76回日本整形外科学会学術集会、2007年には第36回日本脊椎脊髄病学会を開催し、2010年には「脊椎腫瘍の手術」を執筆しました。

土屋弘行 教授 第4代 2010年~

1957年6月群馬県桐生市にて出生
1983年3月金沢大学医学部卒業
2010年4月第4代 金沢大学医学部整形外科教授
2017年5月第19回 国際患肢温存学会 (The 19th General Meeting of International society of Limb Salvage)を開催
2018年7月金沢大学十全同窓会理事長
2019年1月金沢大学十全医学会会長
2021年6月第94回 日本整形外科学会学術集会会長

 悪性骨・軟部腫瘍に対する生物学的再建術、凍結免疫療法、創外固定を応用した骨腫瘍再建術,ヨード担持インプラントの開発など次々と新分野を開拓し、当教室オリジナルの治療法を世界に発信しています。骨・軟部腫瘍の臨床・研究に関して世界屈指の業績を誇り、2008年には文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)を受賞しました。また、早くから脂肪由来幹細胞に注目し、神経や軟骨などの再生に教室全体で取り組み、再生医療の領域でも多くの研究成果を挙げています。
医局創立60年を迎え、土屋教授を先頭に骨軟部腫瘍・骨代謝、脊椎外科、関節外科、骨再建・足の外科、手の外科、スポーツ整形外科、リハビリテーションの各グループが「夢・挑戦・実現」をテーマに歩み続けています。特に近年はアメリカ整形外科学会(AAOS)や国際患肢温存学会(ISOLS)など多くの国際学会で研究成果を発表しています。
(各グループの最新研究内容・業績については教室紹介『研究・業績』を、学会報告記については『学会報告』を、各種受賞については『受賞歴』をご参照ください。)