リハビリテーションロボットHALについて
金沢大学整形外科ではリハビリテーション支援ロボットを令和3年7月から導入しました.
~急性期リハビリテーションのさらなる高みを目指して~
令和2年7月に厚生労働省より「運動量増加機器」として保険収載されたリハビリテーション支援ロボット「HAL®(ハル)医療用単関節タイプ」(つくば市CYBERDYNE社)で,北陸では初導入(令和3年7月時点)です
膝関節装着時
HAL®とは?
このリハビリテーション支援ロボットHAL®(Hybrid Assistive Limb®)は身体機能を改善,補助,拡張,再生することができる日本発世界初の装着型ロボットシステムです.ロボットによるアシストで上下肢の急性期リハビリテーションを進めることが可能になります.
HAL®の仕組み
人が体を動かそうとする際に脳から神経を通じて筋肉に信号が伝わり,その際に微弱な「生体電位信号」が体の表面に出ます.HAL®は「生体電位信号」を皮膚に貼ったセンサーで検出することで,体を動かそうとする意思を読み取り,モーターアシストが適切に駆動することで思った通りの動きを再現します.
また,人が体を動かすメカニズムで重要な「フィードバック」をアシストしてくれます.これは体を実際に動かした際に脳が「どのような信号でどのように筋肉が動いたか」を確認することで,「膝を曲げるという動作」から「膝が曲がった!という感覚」がフィードバックされリハビリテーション効果が高まります.
HAL®の特徴
- ロボットが患者さんの四肢のリハビリテーションをアシストしますが,医師とリハビリテーションセラピストの指導の下に使用します.
- HAL®は患者さんの意思に応じて運動をアシストするため,動かしたくない時に勝手に動かされることはありません.(患者さんの思い通りの動きをアシストするので,痛くてこれ以上曲げたくないと思った際にHAL®はそこでストップします.)
- 整形外科領域の肘,膝,足関節周囲の手術の術後リハビリテーションで使用することで,早期機能回復につながります.
- 脳血管障害や脊椎脊髄病による不全麻痺のリハビリテーションにも使用することができ,感覚をフィードバックするという機能により麻痺の改善を目指します.
- HAL®医療用単関節タイプはアタッチメントを取り換えることで肘,膝,足関節の運動に対応します.また患者さんの体の状態に合わせて臥位,座位,立位など様々な姿勢でリハビリテーションが可能であり,コンパクトな設計により持ち運びができるため,リハビリ室のみならず,病棟や病室でのリハビリテーションに広く用いることができます.
健康寿命の延伸を目指して
「急性期リハビリテーションのさらなる高みを目指して」
高度で先進的医療を提供する特定機能病院としての大学病院の使命をさらに充実するために,今回私たちは術後や疾患の急性期におけるリハビリテーションでその有用性が報告されているリハビリテーション支援ロボット「HAL®(ハル)医療用単関節タイプ」を北陸で初めて導入(令和3年7月時点)する運びとなりました.リハビリ医の指導の下で,熟練したリハビリテーションセラピストによりHALを活用したリハビリテーションを患者さんたちに提供することで早期機能回復に向けた取り組みをさらに充実させ健康寿命の延伸に寄与していきたいと考えます.