診療案内

足に関する疾患

↓(1)変形性足関節症
↓(2)成人扁平足(後脛骨筋腱不全)
↓(3)外反母趾
↓(4)関節リウマチによる足変形

足の変形・痛みでお困りの方は、予約の上、一度当科に受診して下さい。
診察日は火曜・木曜の午前中となっております。松原医師が担当します。

(1)変形性足関節症

当科では、様々な治療を行う事が可能で、関節の動きを残すことも可能です。

病態

 変形性足関節症とは、主に過去の外傷などにより足関節(足首の関節)の関節軟骨がすり減って、関節の変性が進んだ病態です。そのために足首の痛みや変形を生じます(図1)。
 残念ながら現代医学では、一旦破壊された関節軟骨は、薬剤などを用いた治療で元に戻すことはできません。痛みがひどく歩行が困難な場合は、手術的な治療が必要となります。

治療

 手術は、足関節の変形の進行具合や年齢、性別、活動性などを考慮して適切な手術を選択します。若年の方には、骨切り術(図2)や関節牽引形成術(図3)による関節温存手術を行っていますが、中年以降の方には、十分な徐痛、早期の離床と歩行が可能となる足関節固定術(図4)や人工足関節置換術(図5)による治療を主に行っています。

足首の軟骨が減っているといわれたあなた、一度当科を受診して下さい。
関節を残す手術は、他ではあまりできません。

図1 : 足関節のレントゲン

正常な足関節のレントゲン

変形性足関節症のレントゲン(隙間がなくなっている)

図2 : 骨切りによる治療

 手術では、斜めに骨を切り、広げた隙間に骨盤からの骨を移植します。足関節の安定性が得られ、痛みは軽減します。また足首の動きが残ります。

図3: 関節牽引形成術

 手術では、創外固定器と呼ばれる器具を足に装着し、牽引し隙間を作ります。術後は、器具をつけたまま、足首を動かす練習をすることで関節が再生する可能性があります。痛みも軽減することが多く、足首の動きも残ります。

図4: 足関節固定術

 手術では、痛んだ軟骨を削り、関節が動かなくなるように固定します。痛みは軽快しますが、足首の動きが少なくなります。まわりの関節の動きが残るのである程度は足首の動きが残ります。
 多くの人が、普通に歩行可能です。正座も半数の人が可能です。

図5:人工足関節置換術

 手術では、痛んだ軟骨を削り人工の関節を挿入します。痛みが軽快し、足首の動きも残ります。しかしこの手術ができる人はかなり限られています。詳しくは相談して下さい。

(2)成人扁平足(後脛骨筋腱不全)

当科では、痛みのある扁平足を、痛みのない限りなく正常な足の形に戻すことができます。

病態

 成人期の進行性の扁平足の原因は、うちくるぶしの下にある後脛骨筋腱という腱が炎症、変性、断裂を起こし、足のアーチが徐々に崩れるためです。中年女性に好発します。腱が炎症を起こしているため疼痛が生じ、進行するとつま先立ちが不能になります。また扁平足の進行とともに歩行が不安定になり、足周囲に疼痛をきたし歩行障害になります(図1)。一般の整形外科医にはあまり知られていない病気であり、多くは原因不明といわれます。扁平足があり、足に痛みがある方はぜひ一度当科を受診して下さい。

治療

 腱の痛み具合、扁平足の程度により手術は異なります。初期では、装具や薬など手術なしでも治療可能ですが、進行すると骨を固定し、腱を移植するような手術が必要となります(図2)。いずれの手術方法でも痛みのない正常な足の形になります。

他の病院で原因が分からないと言われた、扁平足で足の痛みがあるあなた、当科では治療可能です。一度当科を受診して下さい。

図1: 後脛骨筋不全による外反扁平足

図2 : 術後

(3)外反母趾

当科では、強固な金属で固定するため早期離床が可能です。

病態

 外反母趾は母趾が外側に彎曲し「く」の字の状態になり、靴を履くときに疼痛が生じます。進行すると2,3趾の脱臼を生じることもあり、早期治療が必要です(図1)。外反母趾の発生率は、全人口の2~4%で、65 歳以上が占める人口の5.5%です。95%例は女性です。 原因は1 ) 遺伝因子、遺伝 (家系的な体質)2) 母趾の大きさ(長さ)3) 靴が合っているかどうかなどが言われています。手術は、変形の進行具合や年齢、症状などを考慮して、適切な手術を選択します。

図1

治療

 変形が軽度なものに限っては、体操や装具、適切な靴の装着などの手術をしない方法で治療は可能です。ただし変形の進行はある程度抑えることができますが、変形を治すことは困難です。変形・疼痛がひどい場合、美容的に改善を希望する場合は手術によってのみ治療可能です。変形の程度によって手術は異なりますが、基本的には骨を切り、良い形に戻し、強固な金属で固定します。術後は、早期より歩行可能となり、変形・疼痛は劇的に改善します(図2)。

外反母趾のあなた、今なら手術なしで治療可能かもしれません。
手遅れになる前に一度当科を受診して下さい。

図2:外反母趾手術 術前後

(4)関節リウマチによる足変形

当科では、関節の動きを残す治療も可能です。
痛みのない限りなく正常な足の形に戻すことができます。

病態

 関節リウマチの患者さんは、足の変形をきたしやすく、日常生活に支障を生じます。足趾では重度の外反母趾が生じ、それがとなりの2,3趾を押し上げ、見た目もひどくなり、様々なところにタコができ激痛を生じ、趾も動かなくなります(図1)。
 また足部では扁平足が生じ、アーチのない平べったい足となり、タコができ激痛を生じ、歩行も不安定となります(図2)。多くの関節リウマチの患者さんは、足趾と足部の両方の変形が生じます。治療は、関節リウマチのコントロールが一番大切ですが、いったんおこった変形に対しては、手術によってのみ治療可能です。

図1: 関節リウマチによる足趾の変形

図2: 関節リウマチによる外反扁平足

治療

 変形の程度、リウマチのコントロールの程度により手術は異なります。近年は、新しい関節リウマチの薬のおかげで、関節リウマチのコントロールが可能となってきたため、関節がすでに破壊される前であれば、関節を残す手術を行う事が可能です(図3)。関節がすでに破壊されてしまっている場合は、関節を切除したり固定したりすることで、痛みのない限りなく正常な足の形になります(図4a,b)。

関節リウマチで足の変形・疼痛のあるあなた、変形・痛みがひどくなる前に一度当科を受診して下さい。元の形に戻ります。

図3: 関節残す手術:機能は維持されます。

図4a : 関節を切除する手術:痛みはとれますが、機能が犠牲になります。

図4b: 図2症例の術後