整形外科主任教授より
“整形外科”では運動器の病気を扱います.運動器といわれてもピンと来ない方がいらっしゃるかもしれません.運動器とは,骨,関節,脊椎,筋肉,靭帯,神経などの総称です.最近では,運動器症候群(ロコモティブシンドローム,略してロコモと呼ばれます)ということが言われ,これは,運動器の障害により介護が必要となるリスクの高い状態になってしまうことをさします.運動器の障害の原因には,大きく分けて運動器自体の疾患(変形性関節症,変形性脊椎症,関節リウマチなど)と加齢による運動器機能不全があります.高齢化社会に向かっている日本にとって, 運動器医療の果たす役割には大きなものがあります.天寿を全うするまで,生活の質(QOL, quality of life)を維持することがきわめて重要になってきました.また,その一方で,老若男女を問わず健康増進を目的としたスポーツ振興があり,運動器医療にかつてないほどの注目が集まっています.
整形外科の守備範囲は大変広く,骨折・外傷,関節疾患,脊椎・脊髄病,骨軟部腫瘍,骨系統疾患,末梢神経疾患などに加え,小児整形外科,手・足の外科,リハビリテーションなどの領域もあります.これらの領域において,高度先進医療を開発しその標準化を行っていき,レベルの高い医療を提供していきたいと思います.
医学は日々進歩を遂げており,整形外科の分野でも目を見張るものがあります.我々が研究の成果として得た最新の治療をいち早く臨床の場へ還元していきたいと考えています.金沢大学附属病院整形外科は“病者への献身と奉仕”をモットーにして,運動器疾患でお困りの方に対して最良の医療を提供していきます.