当教室について

ごあいさつ

整形外科長からのご挨拶

皆さんこんにちは。当教室のホームページをご覧いただきありがとうございます。2023年11月より第5代教授に就任した出村諭(でむらさとる)です。どうぞ宜しくお願い致します。金沢大学整形外科学教室は新たな体制で、以下の方針で教室運営を行っていきたいと思います。

金沢大学整形外科教授出村諭

誰もがアクセスしやすい、ユニバーサルな整形外科教室 (全体)

大学病院の医局というと、どうしてもピラミッド構造、少し敷居が高いような印象を持っておられる皆様もおられると思います。金沢大学整形外科では、先代の教授から“明るく・楽しく・元気よく”をモットーとして教室運営を行ってきました。新しい教室ではさらに一歩前に進め、大学病院医師、勤務医師、開業医師、各診療科、基礎研究室、他大学教室、医学生の皆さんなど、多方面での情報交換ができる風通しの良い環境整備、気軽に上司にツッコミを入れて頂けるような教室運営を行っていきたいと思います。

将来を担う若手整形外科医師の育成 (教育)

私は何よりもまず、教室の未来を支える若い整形外科医の育成が最重要と考えています。整形外科では外傷を基本として、スポーツ、関節、脊椎、腫瘍、手の外科、足の外科、リウマチ、リハビリテーション、小児整形など、幅広いサブスペシャリティがあります。さらに大学病院、関連病院、開業医として働く先生方は、手術、外来診療、救急外傷、研究、予防医学、地域医療、留学、経営など、立場や時期により個人のプライオリティーも様々です。

金沢大学整形外科は、北陸3県の基幹病院を中心に、60以上の関連病院、同門会員数も500名に迫る全国でも大きな整形外科学教室のひとつです。また大学教室内には13名の教育スタッフ、約20名の大学院生と医員・研修医師が在籍し、教育、診療、研究を行っています。そのため大学病院や関連病院での連携を通した豊富な指導体制が整っており、先輩・後輩から熱い指導を受けられる環境が強みです。さらに同期入局の先生方同士の協力や切磋琢磨できる環境も金沢大学整形外科の人材育成の特長です。一方、近年は大学医局を敬遠し、限られた施設で診療を行いたいと考える若い先生方もおられますが、医師として最も伸び代がある時期に限られた環境で働くことは、将来の飛躍の可能性も低くなるのではないかと私は考えます。若い時期に色々な医療技術や考えをもった数多くの先輩や後輩と仕事をともにすることで、自分の理想とする将来のビジョンがおのずと明確になってくると思います。また金沢大学整形外科医局や関連施設は比較的自由度が高く、専門医や学位取得後には自分の希望や個性に合った専門分野を仕事しやすい環境があります。今後もさらに個人の自主性を尊重し、個々の能力を発揮することができるよう、最大限の配慮を教室として行っていきたいと思います。

臨床応用を見据えた、金沢大学発の国際的・先端的研究の創出 (研究)

金沢大学整形外科では「臨床で遭遇した疑問を基礎研究で解決する、実臨床に直結した基礎研究を重視する」という姿勢で研究を行ってきました。これまでに脊椎腫瘍に対する根治的手術の開発、四肢・脊椎腫瘍に対する凍結治療を併用した骨再建の開発は世界的にも有名で、国内外から多くの見学者や留学医師が訪れます。さらに現在、整形外科抗菌インプラントの開発、脂肪幹細胞を用いた再生医療、高圧技術を用いた骨の再建、カスタムメイド人工関節の開発、新しい靱帯再建方法など、既に実用化されている、もしくは実用化間近の研究も精力的に行っています。さらに、より高いレベルでの研究成果を追求するため、金沢大学内の基礎教室や国内他施設との共同研究、海外施設との共同研究を行っており、常に世界に発信できる研究成果を意識した研究を行っています。これらのしっかりした基礎研究の上に、臨床応用への道筋が開けており、患者さんによりよい医療を届けることが出来るよう、我々は基礎研究・臨床研究に取り組んでいます。

また当教室での研究の多くは、大学内教育スタッフの指導のもと、大学院生である若い研究者(医師)が研究成果を上げており、多くの学会受賞や研究費を獲得できていることも金沢大学整形外科の特徴のひとつです。現在、金沢大学整形外科の若手医師の大学院進学率は7-8割前後となっています。大学院入学による学位取得の利点として、若手の段階で自身の研究で学会受賞や研究費獲得のチャンスがあること、自身の業績を若い間に積み上げることにより、留学や各種助成獲得の機会が増えることがあります。また将来的には、大学病院の教育スタッフや一部の基幹病院の管理職以上に就く際に学位取得が判断基準のひとつとなる場合もあり、昇進にも有利に働く可能性があります。

高度で先進的かつ安全な医療を提供すること(診療)

診療において最も重要視しなければならないのは、身体・心理・社会的立場などあらゆる角度からの患者さんへの対応であると考えます。教室員一同が金沢大学附属病院の理念でもある“最高の技術とチームにより患者さんが満足できる医療を提供”し、高度・先進的治療の安全な施行、そして北陸のみならず全国の整形外科医療の最後の砦として貢献したいと思います。

金沢大学整形外科は以前より、四肢の骨軟部腫瘍や脊椎腫瘍に対する治療が注目されていることから、全国各地から患者さんが治療に訪れ、また多くの医師が国内外から見学に来られます。私は脊椎グループに所属しておりますが、脊椎腫瘍以外にも脊柱変形(側弯症)、脊柱靱帯骨化症、脊椎感染症、その他関連施設で治療に難渋している症例の治療に取り組んでいます。さらに近年はレクリエーションに伴うスポーツ障害が増加しており、スポーツ障害の治療や予防にも積極的に取り組んでいます。スポーツグループでは北陸のプロチームやオリンピック選手を含むトップアスリートとも密接に連携し、選手のメディカルチェックや外傷の治療、リハビリテーションなどサポートを行っています。また日本国内の平均寿命の延伸による高齢化の影響もあり、骨粗鬆症を基盤とした骨折、骨折予防のための取り組み、増加する変形性関節症への対応など、整形外科の需要はますます広がるばかりです。

整形外科の診療分野はとても幅広く学ぶことはたくさんありますが、金沢大学整形外科では、各分野を全てバランスよく研修し、全方面で実力を発揮できる整形外科医の育成することを基本方針としています。加えて各個人の興味のある専門性を高め、二刀流、三刀流のスーパー整形外科医が生まれることも期待しています。

レクリエーション

他診療科と比べて、全国の整形外科教室にも共通していますが、整形外科医は仕事以外の個人のスポーツ活動や文化活動に取り組んでいる方々が多いです。スポーツ活動の分野では、金沢大学整形外科は、野球、サッカー、バスケットボールチームがあり、日本整形外科学会親善大会で毎年活躍をしています。特に野球チームは過去12回の全国優勝を誇る強豪で、バスケットボールチームもここ数年はベスト4に連続してランクインしています。さらに同門の先生方ではマラソンやトライアスロン、ゴルフなどの個人競技で全国的に活躍されている先生もおられます。また当教室では音楽活動も盛んで、一部の先生方は社会人のオーケストラなどでも活躍されています。金沢大学整形外科は、仕事以外でもスポーツ、文化活動など積極的に活動される先生方を応援しています。

最後に

金沢大学整形外科は、誰もがアクセスしやすい、ユニバーサルな教室を目指し、将来有望な若手医師の育成、世界に通じる優れた研究の創出、北陸・全国から紹介頂く高度先進的医療の提供などを最大の使命と考えています。医師として整形外科を考え、それぞれのフィールドで活躍したい志のある先生方は、是非金沢大学整形外科に加わって頂き、一緒に教室を盛り上げていきましょう。