金沢大学附属病院 整形外科

金沢大学整形外科 教授 土屋弘行

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ごあいさつ

 金沢大学整形外科同門会の皆様におかれましては,常日頃より教室に対しまして絶大なるご支援を賜りまして,深く御礼申し上げます.今年5月に30年ぶりの御代替わりがなされ,平成から令和へと時代は移り変わりました.夢と希望に溢れた時代になってほしいと思います.
 まず,恒例の昨年1年間のおもだった教室業績をご報告します.2018年3月にニューオーリンズで行われた米国整形外科学会(AAOS)の発表題数は27題(今年=2019年は24題),バルセロナで開催された欧州整形外科外傷学会EFORTには17題,JOAの3学会を合わせて83演題,国際学会発表演題が105題,医学博士取得者が5人,科学研究費の獲得が20件,受賞および研究費獲得が29件,英語論文発表が64編でした.昨年と比較しましても,大いなる飛躍がありました.今後も,この勢いを堅持して行きたいと思います.

ごあいさつ

 さて,昨年のビッグニュースですが,まず一つは,2021年5月に東京で開催されます第94回日本整形外科学会学術総会が,選挙の結果,金沢大学の担当に決定したことです.既に学会のテーマは「伝統と創造(Heritage and Invention)」として,教室員が力を合わせまして,シンポジウムやパネルの企画,招待講演や教育研修講演の選定,イベントの企画などを熟考しております.これからも皆様のお力をお借りしたく,何卒よろしくお願い致します.既に,会場と日程は決定しています.会場は東京国際フォーラムとJPタワー,会期は2021年(令和3年)5月20日から23日です.
 そして,昨年の年末,12月19日にもう一つのビッグニュースが飛び込んできました.当教室の村上英樹准教授が,名古屋市立大学整形外科の教授に選出されました.金沢大学整形外科学教室にとって大変喜ばしいことであり,北陸3県以外で,整形外科学講座の主任教授を担当することは初めての事です.村上先生は,本年2月1日より,名古屋市立大学整形外科教授として正式に赴任いたしました.これまで培ってきたものすべてを名古屋で発揮して,教室運営を円滑に行い,多くの優秀な人材を育てていただきたいと思います.村上先生の益々のご発展と教室のご繁栄を祈っております.
 話は変わりますが,昨年9月6日に日本整形外科学会から,平成30年度公益社団法人日本整形外科学会記者説明会で, “がんとロコモーティブシンドローム~がん時代の整形外科~”というタイトルで発表の機会をいただきました.2人に1人が生涯のうちにがんと診断される時代です.がんの新規罹患率は2016年に年間101万人を超え,「がんは誰もがかかる病気」はもはや常識となりました.しかし悪いニュースばかりではありません.医療・医学の進歩によってがんの治療成績は改善しており,2006~2008年には5年生存率(全がん)が62%にまで向上しました.がんにかかっても6割以上は生き延びられるようになりました.そこで,「がんをどう生き延びるか」に加え,これからは「がんとともにどう生きるか」という問題にきちんと向き合うべき時代がきたと言えます.
 「ロコモ」の存在は,がん患者の生活の質を大きく左右します.ロコモ(ロコモーティブシンドロームの略称)とは,2007年に日本整形外科学会が提唱した言葉です.骨や関節,筋肉,神経など「運動器」の障害によって体に痛みが出たり,歩きにくくなったりするなど,移動機能が低下した状態を指します.提唱から10年以上が経った今,この言葉は50%近くの人に認知され,60代女性では7割以上,70歳以上女性では約8割がロコモを知るようになりました.運動器がしっかりしていて体を動かすことができれば,がんをもちながらも質の高い日常生活を送れ,がんの治療成績向上にも役立ちます.そこで日本整形外科学会は,がん自体,がん治療,がんと併存する運動器疾患により,移動機能が低下した状態を『がんロコモ』と名付け,その解決に取り組んでいこうと考えています.この活動により,ロコモの認知度が更に向上することと思います.
 本年3月30日に,BS-TBSの「ヒポクラテスの誓い」という番組の中で,金沢大学整形外科で行っている診療と研究が紹介されました.われわれが行ってきた患肢温存手術は,とうとう骨肉腫の患者さんが長期にわたってサッカーをしたり,日常においてごく普通にスポーツ活動したりすることができるところまで来ました.切断術が当然だった時代と比べますと隔世の感があります.また基礎研究で行っている脂肪幹細胞を用いた運動器再生,抗菌インプラントの開発も紹介されています.運動器再生では,産官学連携が順調に歩んでいる様子も紹介されました.この番組は,サンスターのスポンサーのもと,http://www.mouth-body.com/hippocraticoath/index.htmlで視聴することが可能です(放送から半年くらいしてからでないと見られないらしいので,ご希望の方は医局へ連絡していただけましたらビデオファイルをお送りいたします).患者さんやご両親の言葉を聞きますと,もっと頑張らねばと思います.常に前進!停滞は許されません.医学,医療は進歩をし続けるしかありません.

ごあいさつ

 「永遠の0」や「海賊とよばれた男」で有名な百田尚樹さんが,「日本国紀」という歴史本を出しました.表紙の帯には,“私たちは何者なのか―.神話とともに誕生し,万世一系の天皇を中心に,独自の発展を遂げてきた,私たちの国・日本.本書は,2000年以上にわたる国民の歴史と激動にみちた国家の変遷を「一本の線」でつないだ,壮大なる叙事詩である!当代一のストーリーテラーが,平成最後の年に送り出す,日本通史の決定版!”とあります.これまで教科書で教えられてきた単なる事実(一部は実際の史実に基づいていない南京大虐殺や慰安婦なども入っている)の羅列であった日本の歴史と違い,物語風で著者の見解や考察も織り交ぜてあり,読んでいて本当に楽しく,真実の日本の歴史を知りつつ日本人としての誇りが鼓舞される本です.
 江戸時代にあった犬のお伊勢参りのお話はご存知でしょうか?当時,人生に一度はお伊勢参りに行くという習慣があったそうです.自分が病気のため(ロコモ?)に行けないときに,主人の代わりに犬が,江戸から伊勢神宮まで行ってお参りしてまた帰ってくるという信じがたい事実がたくさん記録に残っているそうです.主人が必要なお金を首輪に巻き付け,街道のゆく先々で皆が犬を可愛がり,宿場では食事を与えられ,必要なお金は徴収されお釣りがくる.中には,お金をまた寄付してくれる人もいて,首輪が重くなる.そうなると,誰かが小銭を大きなお金にして,首輪を軽くする.犬は,無事お伊勢参りを遂行して,信じられない距離をまた主人のもとまで帰ってくるわけです.これは,日本人のDNAでなければできないことと思います.日本人本来の気質を物語るこのような話も出てきます.「日本国紀」と合わせて,「日本国紀の副読本 学校が教えない日本史(百田尚樹,有本香著)」,「今こそ,韓国に謝ろう ~そして,「さらば」と言おう~(百田尚樹著)」を読めば,より一層の理解が深まり,これまでの認識が,大幅に変わること必定です.是非,お読みください.

 5月9~12日に,第92回日本整形外科学会学術総会が札幌医大の山下会長のもと,横浜で開催されました.当教室からは35演題を発表し,親善スポーツ大会では,野球が4年ぶり12回目の優勝,バスケットが2年連続ベスト4という成績でした.いろいろな分野で,皆が頑張りをみせてくれて頼もしい限りです.前述したように,2年後は金沢大学整形外科主催となり,東京で学術総会を開催致します.そのため今回は,医局員総出で視察を兼ねて参加しました.学術プログラム,全員懇親会,会長晩餐会,海外招待者の選定など,大いに参考になりました.東京開催で,いかに金沢の文化とおもてなしを演出していくか,頭を悩ますところであります.
 最後になりますが,いまの金沢大学整形外科を支えるモットーあるいはスローガンは,「明るく楽しく元気よく」と「夢・挑戦・実現」です.素晴らしい詩に出会いましたのでここにあげさせてもらいます.同門の先生がたにおかれましては,引き続き倍旧のご厚情を賜りたく,切にお願い申し上げます.金沢大学整形外科学教室へのご支援とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます.

ごあいさつ

2019年6月吉日
〈平成31年同門会誌 巻頭言より〉

平成30年 ごあいさつ

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