金沢大学附属病院 整形外科

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液体窒素処理骨を含む自家処理骨を用いた再建術が保険承認されました。

2020.04.01

 悪性骨腫瘍(がんの骨転移を含む)を手術で切除した場合,切除した骨の部分(骨欠損部)をどのように再建するかという問題が生まれます.腫瘍用に作られた大きな人工関節(腫瘍用人工関節,図1)を用いれば,大きな骨欠損も補うことができますが,非生体材料(金属やポリエチレンなど)を用いた再建であるため,中長期的にみると,人工関節が摩耗し,緩んだり,折損したりすることが問題となります.
 また腫瘍用人工関節を用いた場合,腫瘍が関節に及んでいなくても,正常な関節(軟骨や靭帯など)も一緒に切除することになり,術前と比べて膝関節の機能が大きく低下することが一般的です.

 このような問題を解決するために,金沢大学整形外科では,腫瘍とともに切除した骨を一塊として液体窒素の中で処理し,腫瘍細胞を死滅させたうえで再び体に戻して骨欠損部を再建する方法を考案し,基礎実験に基づいて,1999年から臨床応用してきました.2004年からは先進医療として治療を行い,2020年4月から処理骨自家骨移植の一つとして保険承認されました.
 液体窒素処理骨では,処理直後の力学的強度が処理前と同等に保たれることや,凍結免疫(液体窒素で処理した細胞が体の腫瘍に対する免疫力を高めること)を期待できることなど,悪性骨腫瘍の治療に有利となる特徴を多く有していることをこれまでの研究で明らかにしてきました.

 私たちはこの治療を応用して様々な再建方法を考案し,患者の皆さん一人一人にとってベストとなる治療法を選択しています.液体窒素処理した骨が早く回復し,少しでも早く生活に復帰できるために,大腿骨や脛骨などの近位(体の中心側)にある骨腫瘍では,腫瘍部を体から切り離すことなく液体窒素処理する方法(有茎液体窒素処理)を行っています(図2).

 化学療法が効果的な場合,対側の骨を温存して腫瘍を切除し,再建を行うことでも,処理骨のより早い回復を期待することができます(図3).

 化学療法が効果的で腫瘍が関節に及んでいない場合では,関節を温存するように腫瘍骨を切除し,液体窒素処理骨再建を行うことで,より良好な機能温存を行うことができ,術前と同じように生活し,スポーツに復帰した方も多くいます(図4).

 腫瘍が関節に及んでいる場合でも,液体窒素処理後に関節面のみ通常の人工関節に置換し,靭帯などを再建(処理骨に再縫着)することで,腫瘍用人工関節に比べて,良好な機能を得られます(図5, 6).

 これまで,金沢大学整形外科では,悪性骨腫瘍の治療において,液体窒素処理骨による再建術を150人以上の方に行い,良好な長期成績を収めています.

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