金沢大学附属病院 整形外科

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学会記 38th SICOT Orthopaedic World Congress

2017.12.08

 腫瘍班の樋口です。11月29日から5日間、南アフリカのケープタウンで行われた38th SICOT (International Society of Orthopaedic Surgery and Traumatology) Orthopaedic World Congressに、金沢大学から土屋弘行教授、山本憲男先生、林克洋先生と樋口の4人で参加しました。私個人としては前回リオデジャネイロの35th SICOTに続いて2回目の参加になります。前回も学会記を書かせてもらいましたので、学会の概要は前回の学会記をご覧いただければと思います。また、どれほど遠いんだ、という怒りにも似た悲痛な思いも前回同様です。私が現在留学させていただいているSan Diegoからも、南アフリカは十分すぎるほど遠く、日本から出発するのとほとんど変わらず、総移動時間は約2日間になります。月曜日の午前に出発し、着いたのが水曜日の午前。え!火曜日はどこ行った?という自問自答にすら、悲しみを感じました。さらに、普段はあるのかどうかもわからない臀部と尾骨に挟まれたところにある疼痛受容体が、エコノミークラスの硬いシートにひたすら抑圧され、ただただ悲鳴をあげるのに対し、何もしてあげられませでした。中継地のミュンヘンのラウンジで土屋教授と山本先生に約1か月ぶりに再会し、気が引き締まる思いになりましたが、それでも、尾骨の悲鳴が鳴きやむことは最後までありませんでした。(これを書いている現在も尾骨を少し椅子から浮かして仕事をしています。)

 ケープタウンに到着後、林先生とも合流し、さっそく町の真ん中にそびえ立つTable mountain という山に学会主催ツアーで訪れました。ゴンドラで登った頂上は街を一望する景色が目前に広がり、目を見張るものがありました(風が強くて、実際に目を見張るのは困難でしたが)。学会前日の夜は地元客でいっぱいのお店で、南アフリカ産ワインを楽しみ、その後ようやくホテルに到着し、もう何日も体重を支えてくれた尾骨の叫びにようやく答える形で、すぐに横になりました。翌日は朝早くから喜望峰 (Cape of Good Hope)とCape pointを訪れ(二つの違いはwikipediaでどうぞ)、南アフリカの野生ペンギンも見ることができました。ツアーが遅れること1時間半、なんとか初日午後の一般口演に間に合い、樋口の発表が無事終了し、2日目には土屋教授が招待講演を2つ、林先生も一般口演とBest presentationセッションでの発表、合わせて2回の発表がそれぞれ終わりました。二人の発表に対しては、盛んな討論や質問が飛び交い、注目の高さを感じることができました。学会最終目は腫瘍セッションがありませんでしたが、適当に会場を選び、脛骨骨幹部骨折にイメージを使わずに髄内釘を挿入した成績、工業用の安いドリルを使ってガンマネイルを挿入した成績など鬼気迫る発表を聞いて、コラコラコラと思いつつも学会の日程はすべて終了しました。Closing Remarksでは山本先生の液体窒素処理骨による膝関節温存手術についてのポスターがHull Deformity Course SICOT Awardsを受賞したことが発表されました(詳細は学会HP参照)。最終日の残りはワイナリーを巡るツアー(1か所だけですが)に参加し、夜は地元で評判の日本料理店を訪れました。いつもは海外で、教授の日本レストランに行くという提案に、地元の物を食べたいという心ばかりの欲望と耳かき一杯ほどの反抗を心の中だけで唱えるのですが、そこは日本の味から離れてひと月余り、諸手を挙げて賛成しました。ただ、実際に訪れてみて大正解。29年前に南アフリカに渡り、本格日本料理を提供し続ける店主が作る料理の味はどれも申し分なく、それでいて低価格。(San Diegoの美味しい日本レストランはどこもかなり高い。)さらに、その店主にネルソン・マンデラがいかにアパルトヘイトを主導したかという話から、法律で禁止されている多妻制を維持し続けている現大統領の話、今の南アフリカにおける人種間の関係について(驚くことに、黒人>中間色(ベトナム系)>白人)まで、実際に見てきたことを生々しく話していただきました。今回は辺鄙な海外学会における、日本料理店に行く面白さを改めて感じさせられた学会となりました。

 最後に、このような機会を与えて頂いた土屋教授をはじめ、同門の先生方に感謝申し上げます。

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