金沢大学附属病院 整形外科

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AO Spine international fellowship 報告記

2015.02.16

AO Spine international fellowship 報告記  加藤仁志
 
 私は10月27日~11月21日の4週間、イタリアのボローニャにあるInstituto Ortopedico Rizzoli (IOR) にAO Spine international fellowとして短期留学をさせて頂きました。この施設はイタリアの骨軟部腫瘍センターといえる整形外科専門病院であり、2013年の国際患肢温存学会(ISOLS)を開催した施設です。また、脊椎腫瘍においても世界的に著名なProf. Borianiのチームが素晴らしい論文を多数発表しており、長い歴史に蓄積された症例数は世界一といえます。
 脊椎腫瘍の領域で世界をリードする有名な施設は3つあります。脳外科医Prof. Gokaslanが率いるJohns Hopkins University、Prof. Borianiが率いるIOR、そして富田前教授、川原金沢医大教授、現チーフの村上准教授に引き継がれている金沢大学です。Gokaslanのチームはエビデンスに基づいた集学的治療、Borianiのチームは脊椎腫瘍の診断・治療における理論と多大な症例数、金沢大学は根治的切除を可能にしたTESの開発、免疫療法も併用した次世代TESなど、先進的で優れた手術が特徴といえます。毎年、海外からTESの見学者が来ますが、有望な脊椎外科医は必ず金沢とともにボローニャを見に行っていました。金沢大学の素晴らしい手術や業績と同様にBorianiのチームが発表してきた理論や論文にも共感していた私は、いつか訪問してみたいと思っていました。2012年からAO Spineのfellow受け入れ施設にInstituto Ortopedico Rizzoliが新たに加わったため、この制度を利用して今回の訪問が実現したわけです。
 残念ながら私が滞在した4週間で脊椎腫瘍の根治的手術はありませんでしたが、カンファレンスや外来で多くの脊椎腫瘍の患者さんをみることができました。Prof. Borianiや2番手のDr. Gasbarriniは、open-mindedでスマートであり、予想どおり尊敬できる脊椎外科医でした。ある日、この2人が私とレジデントを教授室に呼んで原発性脊椎腫瘍のレクチャーをしてくれました。腫瘍学的な特徴、ステージをよく理解すること、その上で治療を選択することを丁寧にレクチャーして頂きました。その時に、Borianiが『金沢チームの素晴らしい研究があって、犬を用いて行った研究なんだけど・・・』と言って、私の学位研究を語りだしました。実は私が行った研究ですと伝えると、『もちろん知っているよ!私が知る脊椎分野の研究で最も素晴らしいものの1つだよ。』とBorianiが言ってくれた時には、体が熱くなりました。もちろんリップサービスですが、25歳も年下の若造の研究をしっかり認識して褒めてくれる度量と年齢を感じさせないScienceに対する好奇心はとても感銘を受けました。
 Borianiは多忙なため期間の半分近くは不在にしていましたが、時間を割いて計2回のレクチャーをしてくれました。また、研修の後半からは臨床のStudyを与えて頂きました。英語が母国語でないイタリアでの研究はストレスもありましたが、『IORに金沢からの足跡を残してやるぞ!』という意気込みで取り組みました。Boriani自ら色々気にかけてくれたおかげもあり、現在First Authorで論文投稿準備中です。
 今回の研修は脊椎腫瘍の歴史や理論、金沢大学以外のstrategyを再確認することができ、今後の私自身の診療にも大きく影響を与える素晴らしいものになりました。このような機会を与えて頂きました土屋教授、村上准教授、そしてAO SpineのChief directorをされておられます川原教授に心から感謝申し上げます。これからも金沢大学の発展に貢献できるよう頑張ります!

 
Boriani教授とともに

IORから眺めたボローニャ旧市街。歴史のあるきれいな街並みで、金沢に似た雰囲気のある中規模都市でした。

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