金沢大学附属病院 整形外科

 富田勝郎名誉教授をはじめ、皆様のご指導、ご支援により、平成22年4月1日付けをもちまして、大学院医学系研究科・医薬保健学域医学類機能再建学(整形外科学)講座教授に就任いたしました。

 整形外科学教室は1953年に開講し、私が第4代目の教授となります。初代高瀬武平教授、第2代野村進教授、第3代富田勝郎教授に培われた伝統ある整形外科学教室を引き継ぐ重責と、その使命をひしと感じ、身の引き締まる思いです。当教室は、時代のニーズにこたえ飛躍的な発展を遂げ、同門会員数も400名超になりました。過去の歩みを大切にし、先人たちに対する感謝の念を忘れず、現在を懸命に生き、未来に革新的なよき物を残していくという堅い意思をもって、教室および同門会に貢献していきたいと決意しています。すなわち、温故知新を行動原理にする姿勢で臨む所存です。

 これまで金沢を訪れた多くの先生方から、金沢大学整形外科同門会は、まとまっており、所謂、磐石あるいは一枚岩であり、素晴らしい同門会であるとの賞賛の言葉を事あるごとに伺いました。これからも安定した教室運営を行っていくためには、この同門会、会員の皆様のご協力とお力添えが不可欠です。今後も、同門会と親密な連携を図り、円滑な対話と情報交換を行っていきたいと思います。今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

 さて、教授就任にあたりまして、教育、研究、診療に対する抱負を以下に述べさせていただきたいと思います。
 教室の運営につきましては、教室員は大事な教室(医局)の財産であることを認識し、個人の能力を最大限引き出し、それをさらに伸ばすことのできる環境つくりを行っていきます。「明るく、楽しく、元気の出る整形外科学教室」で仕事ができるようにします。そして、 教室員全体が"医学への精進と貢献"と"病者への献身と奉仕"を常に念頭において、大学人として求められる教育、研究、診療を全てきちんとこなしていくよう方向付けたいと思います。教育面では、医師としての人間形成、未来を創る人材の育成を推進していきます。医学の発展に貢献するため、臨床的知識と技術の習得はもちろんのこと、research mindを持つ独創性と国際性を兼ね備えた若手医師の育成を行い、当教室で研鑽を積んでいることに対して誇りを持ってもらえるように教育します。若い先生方には、人生を賭けるような大きな目標を持ち、それに向かって努力することを期待します。教室は、お互いが切磋琢磨して発展していく場です。教室員は医学と教室の発展のために貢献しなければなりません。教室員同士は同じ目標に向かって協力するチームメートでもあり、そして良きライバルでもあるということを認識して欲しいと思います。
 アメリカの教育者ウィリアム・ウォードの言葉に、次のような名言があります。
"The mediocre teacher tells. The good teacher explains. The superior teacher demonstrates. The great teacher inspires."
「凡庸な教師は、命令する。いい教師は、説明する。優れた教師は、範となる。偉大な教師は、心に火をつける。」 是非とも、多くの若手医師をinspireしていきたいと思います。

 諸先輩のご尽力により、金沢大学整形外科学教室は、これまで、北陸および日本の運動器(整形外科)医療をリードし、発展させてきました。当教室には、現在、骨軟部腫瘍、外傷・骨延長、脊椎・脊髄外科、関節外科・リウマチ、スポーツ整形外科、手の外科、リハビリテーションの各研究グループがあります。整形外科学をさらに発展させるために、金沢を起点として国内外を含めた学際的共同研究を進めます。特に、学内連携、産官学連携、国際交流を推進して、より高いレベルでトランスレーショナルリサーチを実践します。骨、軟骨、筋肉、靭帯、末梢神経および脊髄の再生医療、骨軟部腫瘍の診断と治療、運動器バイオメカニクス、人工関節をはじめとするインプラント開発、創外固定器の改良開発、コンピューター支援手術の確立、スポーツ障害の予防など多岐にわたって、国際的にもトップレベルの独創的研究を行い、臨床応用を目指します。また、寄附講座を開設して優秀な人材の確保に努めたいと思います。

 高齢化社会に向かっている日本にとって、 運動器医療の果たす役割には大きなものがあります。天寿を全うするまで、生活の質(QOL)を維持することがきわめて重要になってきています。また、その一方で、老若男女を問わず健康増進を目的としたスポーツ振興があり、運動器医療にかつてないほどの注目が集まっています。整形外科の守備範囲は大変広く、骨折・外傷、関節疾患、脊椎・脊髄病、骨軟部腫瘍、骨系統疾患、末梢神経疾患などに加え、小児整形外科、手・足の外科、リハビリテーションなどの領域もあります。これらの領域において、大学病院の使命である難治性疾患に対する最良の医療と、新たな高度先進医療を開発しその標準化を行っていき、レベルの高い医療を提供していきます。各グループが協力し、知恵を出し合って高いレベルを目指す全人的医療(専門性の結集)を推進します。科学としての臨床医学にもとづいたArtとしての医療を提供できるようにしていくことが最も重要と考えます。

 雪の金沢と金沢城に憧れて金沢大学に入学し33年が経過しました。弥生の北溟寮で苦節6年間、夢を見て過ごしたことを、今、大変懐かしく思います。伝統ある母校、金沢大学で指導者として医学教育、研究、診療に従事できる機会を私に与えてくださったことに深く感謝しています。最後になりましたが、同門会の皆さんの信頼と団結を支えるものは、"金沢大学整形外科学教室への誇りと教室を愛する心"だと思います。その教室としての責任を果たすべく、金沢大学整形外科学教室の益々の発展に向けて邁進する決意です。金沢大学整形外科同門会の諸先生方のご支援を、何卒よろしくお願い申し上げます。

〈平成22年同門会誌 巻頭言より〉

平成28年 ごあいさつ

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平成23年 ごあいさつ

平成22年 ごあいさつ